日本でも徐々に知名度を増してきた昆虫食。関西で今回5回目を迎える「関西虫食いフェスティバル」をまるごと体験してきました。講演編に続き実食編をレポートします。
兵庫県伊丹市のスワンホールで開催された「関西虫食いフェスティバル」。昆虫食についてもっと知り、そして実際に食べて楽しんでもらおうという企画で、今年で5回目を迎えます。
食の新たな可能性を押し広げる「関西虫食いフェスティバル」が8月16日に開催、主催者に突撃インタビューしました | BUZZAP!(バザップ!)
昆虫食の現在と未来を知る【講演編】レポートは以下から。
【講演編】コオロギからゴキブリまで昆虫食の未来を見通し、美味しく食べる「関西虫食いフェスティバル」を体験してきました | BUZZAP!(バザップ!)
◆実食
昆虫食についての講演や対談を聞いた後は楽しい実食の時間。スワンホールのパーティルームでは料理人たちの仕込みや準備が進んでいました。これは大量のミールワームを揚げているところ。徐々にみんなお腹も空いてきます。
◆一狩りいこうぜ
でもその前に、希望者は虫取り網と虫カゴを持ってホール周辺の公園でセミを捕獲します。しかしセミの声は聞こえても姿を発見するのは簡単ではありません。高い木も多かったため、なかなか思うように取るのは困難。それでもみんな少しずつ捕獲できていたようです。
◆食事の時間だ!
今回の料理は某ホテルで10年に渡って務め上げてきた料理人がシェフとして腕を振るいます。
まずは前菜から。見てくださいこの美しい皿の数々を!セミ各種にミールワーム、カイコのサナギがフレンチスタイルで提供されます。
頂きますの声とともに参加者たちがさらに手を伸ばします。お昼すぎからのフェスティバルなのでちょうどお腹もぺこぺこです。
カリカリに揚げたミールワームが載ったポテトサラダは料理として激ウマなのですが、ミールワームがオニオンフライのような香ばしさでたまりません。
セミのラタトゥイユ。トマトソースに絡んだセミを野菜と一緒に口に運ぶと、エビのようなサクッとした食感と味わい。これは美味しい。
◆本番はこれから
最初の皿はあっという間に完食。そして次にサーブされたのがカナブン&チップス。カナブンとさつまいものフライの盛り合わせです。少しホクホク間がありつつ、やはり全体的に川エビや沢ガニのような、小型の甲殻類を食べている食感と味わいです。
揚げているところはこんな感じ。
こちらも大人気です
ちょっとためらいがちな人も食べてみるとこの通り。
こちらは大人と子供が共同でハニーワームをより分けます。
いきが良すぎて逃げ出しまくりです。新鮮な証拠ですね。
次々と調理は進みます。
捕獲してきたセミも冷凍庫で仮死状態にした後天ぷらになってゆきます。
こちらはカナブンのシソ&バジル風味のかき揚げを作るところ。
揚げ油の中でカナブンの羽の緑色が美しく光ります。
こちらではカメムシを調理中。
「カメムシはパクチーより美味しい」という衝撃発言を講義の際に内山昭一氏がされていたのですが、食べてみるとふわっと広がる香りは上質なパクチーに勝るとも劣らない風味。これは実に美味しいです。
こちらは羽化寸前のセミの幼虫のオレンジソースというスイーツ。オレンジソースが美味しすぎでしたが、カシュッとしたセミのほんのりクリーミーな柔らかさは絶品でした。
ミールワーム入りオムレツ。ここまでくるとミールワームは普通すぎて、単に美味しいオムレツになってしまっています。
◆待ちに待ったゴキブリ実食!
美味しい昆虫料理の最後に待ち構えていたのはゴキブリ!もちろんお宅に出没するクロゴキブリ(これは食べているエサのため、クソ不味くて食えたものではないそうです)ではありません。爬虫類などのペットの餌に使われる、飼育管理の行き届いたアルゼンチンモリゴキブリです。
ゴキブリというだけで拒絶反応を示す人ももちろんいましたが、生きている時の動きにはクロゴキブリのような素早いカサカサ感がなく、なんとも可愛らしいのです。参加者の皆様も徐々に慣れて手に載せられるように。
女の子たちが楽しそうにゴキブリを手の上で愛でている姿、衝撃的ながらも自然な風景に見えてしまいますね。
そんな時の脳内BGMはもちろんこれが無限ループです。
まあ、食べるんですけどね!ということで参加者の方が冷凍庫で仮死状態になったゴキブリを揚げ油に次々と放り込みます。すぐに暖かくなって動き出してしまっており、ちょっと大変そうでした。
揚げられるゴキブリ。さすがに黒っぽいのでちょっと見えにくいですね。
こんな感じの素揚げになりました。塩だけを振ってシンプルに頂きます。
ひと皿目でゴキブリを食べた彼女の「セミより美味しい!」の感想に会場が色めき立ちました。ここまで美味しく頂いたセミよりも美味しいと言われて食べないわけには行きません。
取材に来ていたテレビ局も激しく食いつきます。少年も「美味しい!」とのこと。ざわ…ざわ…とゴキブリ熱が高まります。
そしてふた皿目のゴキブリの素揚げに行列を作る参加者の皆様です。
思えば2014年12月に某有名カップ焼きそばにゴキブリが混入した時は全国から商品を回収し、半年にもわたって市場から消える大事件となりましたが、一方虫食いフェスでは見たまんまのゴキブリの素揚げに行列ができるという異世界っぷり。飲食に携わったことのある人間からは信じられない光景です。
そして筆者もようやくありつけました。アルゼンチンモリゴキブリの素揚げです。
口に運んでみるとさっくりと柔らかく、お腹のクリーミーさと羽のカリサク感のコントラストが完璧。小エビのような甘みがあり、シンプルな塩味とのコンビネーションが素晴らしいです。身構えていた臭みや苦味も一切なく、スナックとして長靴いっぱい食べたいレベルの美味しさでした。
◆実食を終えて
昆虫食については、筆者はイナゴを一度食べたことがあるくらいでしたが、実際に味わってみると食材として実に魅力的であることが分かります。もちろん本格的な料理人が美味しく作ったということもあるのですが、だからこそ昆虫という新しい食材の魅力を存分に引き出して食べる人を楽しませることができたのだろうと感じました。
講演で内山氏が話していたように、しっかり美味しくて新しいレアな食材としてプロモーションを行っていけば、昆虫は間違いなくメジャーな食材として認知されていくことになりそうです。
思えば25年前はまだナンプラーやパクチー、ココナツミルクといったエスニック調味料やカエルなどの食材はまだまだ日本でもマイナーで、下手をすればゲテモノ扱いでしたが現代ではエスニック料理はオシャレな食事の選択肢のひとつとして完全に定着しましたし、「カエルは鶏肉を濃厚にしたような味で美味しい」として抵抗なく食べる人も増えています。
廃れかけているとはいえ昆虫食の文化を持つ日本で、新たなバリエーションと発想をひっさげた昆虫食がオシャレで健康的なデートのディナーの選択肢として認識されるのも時間の問題と言えそうです。
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